【ノスプロ講座4】繊維から生地が出来るまで

~ NO.S PROJECTと一緒に学ぶ”ノスプロ講座” ~

NO.S PROJECTと一緒に学ぶ”ノスプロ講座” 、先生役は開発メンバーのパタンナー。
前回の第三回目の講座ではシルク・ポリエステルの特性について学びました。
今回は繊維から生地が出来るまでについてのお話です。

【繊維から生地へ・・・】 Written by パタンナー
《生地が出来るまで》
服飾で使われる主な素材として、「布帛(ふはく)」と呼ばれる「織り物」と「ニット」と呼ばれる「編み物」があります。他に「不織布」や「皮革」などもありますが、今回はその中でもわれわれが良く使用する「織り物」についてさらに掘り下げてみます。

一口に「織り物」と言っても・・・これがまたとてもじゃないですが数えきれないほどの種類の生地製品を、数えきれないほどの会社が日々開発しています・・・
そんなに種類を分ける必要があるのでしょうか。と思うかもしれませんが、微妙に・・・少しずつではありますが「何かの差」があるということです。
似たモノはあるかも知れませんがそこは開発側のこだわりだと解釈しておきましょう。
では、その「何かの差」を分解して「織り物」が出来るまでの工程を見てみましょう。

色々な「繊維」があり、「撚り」のかけ方も色々。「織り方」もたくさんの種類があり、それぞれに合わせた「加工」も山ほどの種類があるわけです。
この組み合わせで生地の「風合い」がそれぞれ違ってくるわけですが・・・いったい何通りになるのでしょう!(◎_◎;)
それはもう数えきれないくらいの種類の「生地」が世の中に出回るわけですよね~・・・

《撚糸》
ではまず繊維を糸にする「撚糸」について少しだけ。
「コットン」や「ウール」などの短繊維。その短い縮れっ毛がどのようにつながって「糸」になっているのでしょう・・・?

細くて短い吹けば飛ぶような(ホントに飛んでどこかに行ってしまいます)繊維は、当然ですがボンドでくっ付いて、長い「糸」になっているワケではありません。
ねじり合わせることにより、細く長く連結していくんです。ですから、ねじれを逆回しにして緩めてからひっぱってあげるとズボッ!と抜けます。
切れるというより抜けるんです。
このねじれを「撚り」と言い、ねじることを「撚りをかける」と言います。
「撚糸」とは繊維に「撚り」をかけて「糸」にすることです。

「短繊維」は当然のように「撚り」をかけていきますが、「長繊維」も例外ではありません。
「長繊維」が長い糸状態とはいえ、「シルク」や「細く加工した化学繊維」は1本だけではさすがにすぐに切れてしまいます。
「糸」としての強度を上げるために2本、3本・・・と「撚り合わせて」いきます。
「短繊維」も「長繊維」もまずは「糸」にしなくては「生地」になれません。「糸」にする段階で、「どんな生地」にするのかを見据えたうえで「どんな糸」にしなくてはいけないのかを目指します。

1本で成り立つ「単糸」、2本をさらに撚り合わせた「双糸」、3本を撚り合わせた「三子糸」・・・と色々あります。
もっと言うと、「撚る方向」が右ねじり(「S撚り」と言います)なのか左ねじり(「Z撚り」と言います)なのかとか、「S撚り」と「Z撚り」を交互に配置することにより「シボ」感を表面に出した「縮緬(ちりめん)」などなど・・・

あとは「撚り具合い」です。
ティッシュペーパー(繊維の集合体なので)を例にすると・・・ティッシュペーパーをねじる(撚りをかけた状態)と細くなります。
さらにねじるとさらに細くなります。ねじればねじるほど細くなり、不思議なことに強度を増していきます。「密」になっていくからですね。
試しにやってみるといいですよ(やらないか・・・)。
少しねじったくらいだとすぐに引きちぎれるティッシュペーパーが、すご~くねじってあげると男の私でもちぎれない(逆に指が痛い・・・!)くらいになってしまいます。これが「撚り」なんですね。

写真上:かなりねじったティッシュペーパー「強撚」状態
写真下:少しねじったティッシュペーパー「甘撚り」状態

・「撚り」が弱い(あまりねじっていない)とその「糸」は、太いけどソフトでふっくらした「糸」になります。
が、強度に欠けます。→「ウール」の紡毛素材(ツィードなど)がこれにあたります。=「甘撚り」「甘撚糸
・「撚り」が強い(たくさんねじってある)とその「糸」は、細いけど強度を増します。
「ポリエステル」なのか「コットン」なのか、使う「繊維」にもよりますが、場合によっては光沢もあらわれます。=「強撚糸

「コットン」はあまり光沢に縁がないように感じますが、「海島綿(シーアイランドコットン)」と言われる上質で高価な「コットン」には光沢があります。
これは他の「コットン」比べて、「繊維」が長くて細いからです。
この「繊維」で「強撚糸」を作ると、細くて丈夫で光沢のある「コットンの糸」の出来上がりです。
フォーマルのドレスシャツによく使われる上質な「コットン生地」になります。

写真:紡毛素材 「甘撚り」のウール素材

写真:生地の「糸」を1本抜いてみる 「ねじり目(S撚り)」が見えます。

写真:逆回しにして「撚り」をほどいてあげると2本の「糸」(=双糸)に!

写真:2本に分かれた「糸」にも、それぞれ「撚り」がかけられている

写真:「甘撚り」ということもあって、力を入れなくてもひっぱるとすぐに「抜ける」

写真:見えますね!これが縮れっ毛の「ウールの繊維」です!!

「繊維」が何か?ということはもちろんですが、「生地」を構成している「織り」(次の項目で・・・)はどうなっているのか。
「糸」がどのように「撚られている」のかが、生地の風合い、縫製の難易度に大きく関わってくることになります。

ちなみに上の画像の生地で言うならば・・・
「素材」は「ウール」
「織り」は「変化平織り(=平織りの応用版)」
「撚り」は「Z撚りの単糸をS撚りで双糸にした甘撚糸」

風合いに関しては、嵩高でふっくらとしたソフトな風合いを持ち、さらに軽い。
縫製や仕様の面では、「生地」としての目が詰まって「織られている」訳ではなく、少し目を甘く「織って」いるので、着用による力のかかり方を十分に考えた上で、必要部分に「補強」の為の手を施したり、毛足が長いほうなので、アイロンの熱に配慮が必要です。
デザイン的にはタイトなデザインだと上に挙げた「補強」の意味で可能な範囲がありますので、体にフィットしないフワッとしたタイプ。
フレアの表現に向くくらいのソフトな風合い。

ちなみにこの生地は去年の「赤ずきんフレアショートコート」に使用しました。
フレアがデザインポイントで、大きなフード、フロントのリボンなどの全体に「可愛い、優しい」イメージのコート地に丁度良い生地ということです。

ではでは、次の項目「織り」の話へ・・・
これがまた「生地の風合い」に大きく大きく関わってきます!!

前回:【ノスプロ講座3】素材(マテリアル)について ~シルク・ポリエステル編~
次回:【ノスプロ講座5】織りの種類