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【ドール衣装制作】ブライスドール/チャリティーオークション出品作品2014(JUN ROPE)

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2014年、チャリティーオークションに出品されるブライスドールの衣装の制作を行わせて頂きました。
ファッションブランド「JUN ROPE」様からのご依頼です。

※今回は第二回目(2014年)の作品になります。
第一回目(2013年)の制作過程は来週公開予定となっております。

※今回の記事は第二回目(2014年)の作品になります。
第一回(2013年)の制作過程はコチラのページで公開中です→ブライスドール/チャリティーオークション出品作品2013(JUN ROPE)

【設計・造形系担当コメント】
◆デザインと調整
非公開のファッションフォトと、ご依頼担当者様からの丁寧なデザイン画がありましたので作業のイメージがしやすかったです。
また、メインの資材はファッションフォトで着用されている洋服と同じ物をご提供頂けた事で、まさしく「ドール版」として進める事が出来ました。
フルセットアップでは帽子とステッキが付属しますが、締め切りの関係から洋服と胸元のコサージュのみのご依頼となります。
しっかりご依頼者様のイメージに沿うよう、トワルを制作して直接写真に書き込んでもらう方法でシルエットの調整を行っています。

◆ポイント
テキスタイルがばっちりだったので、とにかく細部まで作り込もうと考えました。
この「小さな洋服」はパタンナーが好きな作業でしたので、洋服としてのディティールの縫製関連部分は何も心配がありませんでした。
ストライプ、ドット、ジャガードという要素の多いスタイルでありながら洗練されたバランスのスタイリングなので作っていてとても楽しかったです。
裾の少し生地を解して作るフリンジが可愛いです。

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◆ボタンとコサージュ
洋服部分は何も心配が無かったので、副資材でより説得力を持たせようと既製品を使わず専用に制作しました。
ボタンはパテで造形して複製、複製したものに着色しています。
ボタンの直径は2.2mm程で、メタルボタン風に刻印を施していましたが、パテの固さが合わなかったのか
細部まで複製出来ず、綺麗に複製出来なかった箇所を一個一個針で修正しています。
シャツのボタンは半円のビーズを接着剤で貼り、シャツのボタンは貝ボタン風の柄を描いて製作しました。

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コサージュは造花パーツに水性ペンで着色したものになります。珍しい品種の蘭の花なんですが、
メンバー間で花の色と大きさで解釈が分かれ為三種制作し、ご依頼者様に選んで頂く事になりました。
直径で1cm無いような固い花なので、本当は型で抜いた方が綺麗ですが、極小蘭造花の抜き形は当然ながら特注です。
ここは贅沢を言わずに3mm-4mmの花弁を手でそれぞれ切り抜いて根元で張り、形を作っています。

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◆小さい服を作る時に
布の厚みは縮尺されないので、襟、袖などの縫いが重なる部分が団子状になってシルエットを崩します。
綺麗に作るため、ある程度は仕方が無いのですが、今回のシャツの襟部分は薄い接着芯を貼った後に両面接着シートで圧着し、切り抜く方法の方が良かったかもしれません。
ネクタイもこの大きさでは結ぶ事が難しく、結ぶために作ったネクタイをシャツの襟に通すと首回りがもったりします。
今回のネクタイは結んだ後に首に回る部分を切り、ワイヤーを通してネックレス状にしています。

◆制作を終えて
ドール衣装の設計はゆとりや着心地を考えなくて良い分趣味性が高く、時間が許せば個人的にやりたいぐらい自由度が広くて楽しいです。
チャリティオークションの企画は多くのブランドが参加しており、カタログでは素敵なドールがたくさんいました。

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トワルチェック 丈の長さ、フレアの具合などを確認

【パタンナーコメント】
今までにドールのオーダーも何度もやらせていただきましたが、その中でも「ブライスドール」は最も小さい「立体」でした。
=カタチにする側としては「こんなに小さくて縫えるのか?専用のミシンとか?」と縫製のことをまず考えてしまいます・・・(汗)

更に・・・「ブライスドール」は人間を単純に縮小した立体ではなく、デフォルメされていて、バスト~ウェスト~ヒップの「メリハリ」が非常にアバウトな立体でした。

世の中のパタンナーが皆さんそうなのか分かりませんが、常に頭の中は「上手い立体」を表現するには・・・みたいなことを考えてしまいますし、ちょっと変わった形の立体を目にしたら平面図を考えてしまいます。
「動く立体であるヒト」と「動かずにほぼワンポーズのドール」・・・
「ブライスドール」は、いつもの立体と全然違いますし、とにかく小さい!小さいけど服としてのシルエットは大事なので、その点が非常に苦労しました。

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それでもパターンは、線を平面の紙に引けばいいので大したことはありませんけど・・・
大変なのは、あの小さいパーツを裁断する裁断士。本当に小さいのでくしゃみをしただけでどこかに吹き飛んでしまいます!!
縫製担当に至っては、あんな小さいパーツをアイロンしたり、針数を気にしながら縫わなければならないんです。(汗)
今回のデザインはジャケットとスカートの裾や袖口がフリンジ(生地をあえてほつれさせる)仕様なので、ツイードを使用。

ただ、普通の大きさの服でフリンジさせるのと、圧倒的に面積の小さいドールの服でフリンジさせるのとでは見え方がどうしても大味になってしまいます。ところどころツイードの「生地の糸」自体をさらにほつれさせました。

更にジャケットとスカートはまさかの裏地付き!これもパターンは別にいいんです。あんなに小さいのにパーツが増えて、裁断と縫製の手間が・・・!
ジャケットには小さいポケット付き!!このポケットがあまりにも小さくて(1c角くらい)「アイロンなんてかけられるのか?」と思っていましたが、縫製担当は「普通の人より手が小さいからできるのよ~」とおっしゃってました・・・感謝です(泣)

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ポケットのパターンはパタンナーの爪の大きさ!

インナーのシャツはクレリックシャツで、衿は小さくなりすぎるので、「台衿」と「上衿」をワンパーツで済ませられるようにパターンテクでドッキングさせました。カフスにはカフスボタン的なものが絵型に描かれていたのでクライアント様に確認をしてみると「それも作れないでしょうか?」ということでした。
うちには「こういうモノ」が得意なメンバーがいたから出来ましたけど、心臓に悪いですよね・・・
ネクタイも小さいネクタイでした。これも「結びモノ」の天才(ウチのBOSSです)がいたので乗り切れました。

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JUN ROPEさんの「ブライスドール」は実は去年に引き続き2回目だったので、デザインやテイストは全く違いましたけど、そういった意味ではやりやすかったですし、やはり「小さい」と単純に可愛いので、今回もまた楽しかったです(裁断士と縫製担当は大変だったと思いますが・・・)。
ぜひ、次回はドレス系のゴッテリした依頼があることを期待しています!

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ジャケットの袖は指がやっと通るくらいの細さ!

【オーダーメイド縫製担当コメント】
今までに、ドール衣装を何体か手掛けさせて頂いた中で、スーツ系は、今回が初めてでした。
ドール衣装で一番大変なのが袖付けです。

なにせお人形さんの腕が、女性の指よりさらに一回り細いのですから、袖ぐりが、かなりの急カーブになります。
ミシンを小さくするわけにはいかないので、小さ目の押さえ金や、ピンセットを使うなど、色々工夫して付けます。
私は、非常に手が小さく、普段はそれがコンプレックスだったりするのですが、ドール衣装を縫う時だけは「小さい手で良かった~」と思えるのです(笑)

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今回のスーツは、生地もツイードでほつれ易く、かなり気を遣いました。
さらに裏地付きとのことで、パタンナーさんが、とても申し訳なさそうな顔をして下さったのですが、縫い代の始末のことを考えると、裏地付きで良かったかなと思います。
ポケットも、かなり小さいものがつきましたが、この小さい手と、アイロンの先を駆使して、なんとか上手くつけることが出来ました。

日頃、サンプルやオーダーの服を縫う時も、パターン通り正確に仕立てるよう、常に心がけているのですが、
ドールの場合は、1mmの誤差が、普通の服では数cmに匹敵する位になってしまうので、
特に、一針一針、細心の注意を払って縫い上げます。

色々神経を使いますが、吹けば飛んでしまう様な小さいパターンのパーツを丁寧に縫い合わせ、手のひらに乗るくらい小さなお洋服が出来上がると、思わず「可愛い~!」と口ずさんでしまい、「見て、見て~!」と周りのスタッフと喜びを分かち合い、ささやかな幸せを感じます。
さらに、ボタンや装飾がつき、全くイラスト通りの衣装が出来上がると、本当に素晴らしく、感激致します。

スタッフが、皆それぞれの得意分野を最大限に活かした結果、かなりクオリティの高い作品に仕上がったと自負しております。

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